コード解析

「イフ・イッツ・マジック」「If It’s Magic」 ~ スティーヴィー・ワンダー Stevie Wonder

はじめに

こういう一定のリズムを持たない曲ってなんか名前が付いてるんですかね。POPSではかなり少ないですよね。私の持っている楽譜では冒頭に”Freely”(自由な感じで)とありました。楽譜の指示もけっこうザックリやな。

℗ A Motown Records Release; ℗ 1976 UMG Recordings, Inc.

曲のアレンジは、エンディングのハーモニカを除いて、ハープとヴォーカルだけ。それだけで十分に仕上がっちゃって、いろんな楽器を足す必要が無かったのでしょうかね。
ハープを弾いているのはドロシー・アシュビー(Dorothy Ashby 1932-1986)というジャズハーピストとのこと。アルバム『キー・オブ・ライフ』のリリースが1976年ですから、40歳ちょっとでスティーヴィーと共演し、その10年後に54歳の若さでお亡くなりになったということか。
夜空から降ってきた、神さまからの啓示みたいな雰囲気の曲ですよね。

この神秘的な隠れた名曲のコードがどんなことになってるか、見てみましょう♪

コードの話

イントロ

コードはこんな感じ。

すいません、若干神がかってて、なんて解説したらいいかよくわかりません。
ルート音が半音ずつ上がっていってますが、んなことは見たらわかりますね、すいません。
鍵盤だとこんな風に弾いたらよいかと思います。

Baug7のところ、ハープはラが鳴ってないかもです。7thをどけてBaug(ラを外す)でもいいんでしょうけど、参考にしてる楽譜がaug7になってたのと、右手を4音弾きのままいきたかった、っていうのでこうしてます。
なんて素敵なイントロなんだ。ハープ弾いたドロシーさん、気持ちよかったやろな。

Aメロ

コード的には特筆すべき点はなく、Key:Eでの定番コードで進行します。
最後にご紹介する「メイキング オブ キー オブ ライフ」っていうDVDで、音声だけですが、この曲のピアノ弾き語りバージョンを聴くことが出来て、なかなか貴重だと思います。そこでは、F#7をF#9で弾いてるように聴こえます。この人たち、テンションコードなんて自由に操っちゃうので、どっちで書こうが大きな問題ではないのかなと。

Bメロ①

「オェっ」てなった方が多いと思いますが大丈夫です!このあと鍵盤図を載せます。あなたにも弾けます!
で、キーは唐突にKey:Cに転調です。最後Emaj7に落ち着いてるのでKey:Eのまま、って見方もあると思いますが、途中GもFも出てくるし、最後のEmaj7はE7(Key:CのⅢ7)の代理的に使われてるってことで、Key:Cと考えてよいのかなと思います。別にどっちでもいい。市販の楽譜ではわざわざ調は変えてません。
鍵盤図ですが、これでどうでしょ!右手はほとんど動かさなくていいぞ。


ほぼ同じですが、次のフレーズいきます。

Bメロ②

出ましたよ、必殺Ⅲ/Ⅴ!!
ちなみに、私の参考にしてる楽譜ではここはB13♭9ってのを振ってます。ハープの演奏がポロポロとたくさんの音を出してるので、なにが正解なのか分かりませんが、スティーヴィーが他の曲でも愛用してる魔法のコードⅢ/Ⅴに違いない、と信じてますのでこうしておきます。
鍵盤図は上記のパターン①を下記のパターン②に差し替える、と。

最後のコードが物足りないと思った方は、右手で一番高いシを足してみてください。多分ハープでは鳴ってる。さらに2コーラス目では、ここはちょっとコードを端折ってGとFが登場せず、G/B→F/A→G#/Bになってるかなと。

ハーモニカでのエンディング

ヴォーカルパートを終えたあと、ハーモニカでメロディの余韻を楽しむようにしてエンディングを迎えます。Aメロコードの短縮バージョンとBメロコードを繋げているわけですが、その際にB♭m7♭5ってのを挟んでます。ルートがB→B♭→Aとちゃんと繋がってる。あっちとこっちを繋ぐときにビタッとハマるコードをあてるのもウマいですよね。

おわりに

ミュージカルの重要なシーンでもどっこい使えそうなロマンティックな雰囲気の曲だと思います。収録されているアルバム『Songs in the Key of Life』は、エンタテインメント性と芸術性が見事に同居した云々、、、と評されることが多いですが、その芸術性の部分をがっちりと担保する、この銘盤の中でも極めて重要な曲と言えるでしょう。

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